4月初旬、なんと、あの吉川忠英さんがメルボルンのジャック・スピラのギター工房を訪ねてくれました!
吉川忠英さんと言えば、アコースティック・ギター好きなら誰もが知っている日本のミュージック・シーンを支えてきたレジェンド・ギタリスト!
音楽にあまり興味がなく、吉川忠英さんの名前を知らずとも、日本人であれば絶対に聞いたことのあるギターの音色。
中島みゆき、松任谷由実、イルカ、松田聖子、山口百恵、福山雅治、加山雄三をはじめ、星の数ほどのレコーディング、ステージ等で、日本の音楽を支えてきた人です。
かくいう私も、今から30年ほど前の学生時代に、渋谷のヤマハ・エピキュラスで行われた吉川忠英さんのソロライブを見に行ったことがあり、まさかメルボルンでこうした形でお会いできるとは夢にも思っていませんでした!
何はともあれー
「吉川忠英さん、遠路はるばるメルボルンまで、ようこそおいで下さいました!」
そして、さっそく工房へ。
忠英さん、アメリカでプロデビュー(※1970年代にEASTというバンドで米国キャピトルレコードより)しただけあって、とても堪能な英語!
ジャックとしばしジョーク交じりの雑談を交わしながら、さっそくギターを試奏していただきました。
最初の1本は、写真中央に立っているSitka Spuruceトップ、Wengeサイドバックのギター。低音もよく響き、サスティーンも効いています。
そして2本目は、Sitka Spruceトップ、Australian Black Woodサイド・バックのとてもシンプルなデザインのギター。
実はこのギター、ジャックがこれまでと違ったブレイシングを試すための試作品で装飾も最低限、サスティーンも少なく乾いた音色。ジャック自身も試作の結果、「ブルース・プレイヤーには良いかもしれないけど、今流行りの音ではないから、売るのは難しいかな…」と呟いていたギターです。
正直なところ、ロング・サスティーン信者の私は「えっ?ジャック、そのギターを忠英さんに試奏させるの~??」って、心の中で呟いていました。。
ところが、ところが!
忠英さん:「このギターいいじゃない!!」「最近はあまりサスティーンが伸びるギターはもういいや…ってなっちゃうんだよねぇ。」と。
幾多のギターを弾いてきた吉川忠英さんに認められたジャックの試作ギター。。。忠英さんはこのギターに何かを見い出したようでした。
でもジャック含め、一同ビックリ!( ゚Д゚)
そして忠英さん:「これ買って帰りたいんだけど、いい?」(またまた、一同ビックリ!)
ジャックは「こんな試作品では申し訳ない」感を残しつつ・・・でも、忠英さんがこの試作品の良さを見い出してくれたことへの驚きと感謝の気持ちからか、シャイなジャックが、いつになくとても嬉しそうにしてました。
実はジャックが良く言っていることなのですが「本当はトップをやや厚めにして、5年後、10年後に鳴るギターを作るのが製作家として正しいんだけど、そんなギターは作っても売れないから、今は誰もがトップを薄くして最初から鳴るギターを作るんだよね…。」と。
驚いたのは、忠英さんが試奏している最中に、これとまったく同じことを言っていたんです。やはり忠英さんにはいろんなことが見えているんだな・・・と、ひとり感心した瞬間でした。
そして・・・「忠英さん、ジャックのギターをゲット!」
忠英さん、メルボルンに到着初日の出来事でした。
こちらはその忠英さんに選んでもらったギター。とてもシンプルなデザイン。塗装もジャックのギターには珍しく、艶消し仕上げ。
試作品であったため、ヘッドインレイさえも入れていなかったギターでしたが、(上の忠英さんが抱える写真にはインレイがありません)せっかく忠英さんに弾いていただくで、急遽ジャックがトレードマークの「S」インレイを入れようということになり・・・
カッコよく「S」インレイが入りました!(仕事早っ!)
そして忠英さんがメルボルン滞在の1週間のうちに、忠英さん好みの弦高に調整するだけでなく、ネック幅も少し細めに削りなおして、忠英さんのスペシャルな1本に仕上がりました!
滞在中はとても優しい忠英さんのお人柄に触れることができました!
吉川忠英さん✕Jack Spiraギターの演奏が聴けることが今からとても楽しみです。
最後に吉川忠英さんのプロフィールとレコーディングセッションの代表曲を記しておきますね!
【吉川忠英さんプロフィール】
1971年、伝説のフォーク・グループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米。西海岸を中心にコンサート活動を行い、和楽器を取り入れたフォークロック・グループとして注目を浴びる。“EAST”と改名し、米国キャピトルレコード社よりアルバム『EAST』を発売。全米デビューを果たす。
帰国後シンガーソングライターとしてアルバムデビューし、同時にスタジオ・ミュージシャン、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を開始。アコースティックギターの第一人者として、中島みゆき・松任谷由実・福山雅治・夏川りみ・加山雄三・Chageなど、ニューミュージック系のアーティストを中心に数多くのレコーディングやコンサートに参加。 近年では、福山雅治『Golden Oldies』、夏川りみ『南風』、『岡本おさみアコースティックパーティーwith吉川忠英』などのアコースティックアルバムのプロデュースにおいても高い評価を得ている。
Martin、YAMAHA、Sumi、Tears Guitar より、「Chuei Model」ギターを発売。
毎年、北海道から沖縄まで全国ソロライブツアーも精力的に行なっており、その旅の音風景とも言える楽曲を集めたアルバム「Relax & Slow ~Natural Style~」を 2014 年夏に発売。
季刊誌「ACOUSTIC GUITAR MAGAZINE」(リットーミュージック)に『チューエイのスタジオ日 記』執筆中。
2017 年より、WEB でのオンラインギタースクール「Masters Labo オト塾」を開講。
Masters Labo オト塾:http://www.masterslabo.com/chuei/
オフィシャルHP: http://chuei-yoshikawa.com/
【吉川忠英さんのレコーディング代表曲】以下のリストは、数あるレコーディングのほんの一部です。(あいうえお順)
浅香唯「TRUE LOVE」
あみん「待つわ」
荒井由実「まちぶせ」「やさしさに包まれたなら」
石川ひとみ「まちぶせ」
伊藤つかさ「少女人形」「もう一度逢えますか」
因幡晃「わかってください」
井森美幸「瞳の誓い」
岩崎宏美「真珠のピリオド」
イルカ「なごり雪」
梅沢富美男「夢芝居」
太田裕美「木綿のハンカチーフ」
岡本舞子「愛って林檎ですか」「ファンレター」「11月のソフィア」
海援隊「贈る言葉」「人として」
柏原芳恵「ハロー・グッバイ」
河合その子「青いスタシイオン」
河合奈保子「Invitation」
久保田早紀「異邦人」
桑江知子「私のハートはストップモーション」
小林旭「熱き心に」
近藤真彦「夕焼けの歌」「気ままにWALKIN’」
斉藤由貴「砂の城」
酒井法子「青いうさぎ」
庄野真代「飛んでイスタンブール」
ジュディオング「魅せられて」
田原俊彦「ごめんよ涙」
Char「気絶するほど悩ましい」
中島みゆき「ファイト!」「わかれうた」
中原理恵「東京ララバイ」
中森明菜「サザン・ウインド」
夏川りみ「涙そうそう」
原田知世「時をかける少女」「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ~」「天国にいちばん近い島」
福山雅治「春夏秋冬」
堀ちえみ「さよならの物語」
松任谷由実「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ~」「時をかける少女」
松田聖子「青い珊瑚礁」「風立ちぬ」「渚のバルコニー」「瞳はダイアモンド」「秘密の花園」「赤いスイートピー」「小麦色のマーメイド」
三木聖子「まちぶせ」「恋のスタジアム」
山本コータローとウィークエンド「岬めぐり」
山口百恵「禁じられた遊び」「イミテイション・ゴールド」「秋桜」「いい日旅立ち」
渡辺徹「約束」
渡辺真知子「迷い道」「かもめが翔んだ日」
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